最近は、本を読むことを優先しまって、感想を書き記すところまで手が回らなくなってきた。で、今後は、後で感想を書き加えることもあるだろうと、本の紹介程度に簡単にコメントだけしておくこととした。
まとまった文章ではないものも書くこととなってしまうことになるので、ここにいらっしゃる読者(もし、いればの話だが・・・)には申し訳ないと思うが、勘弁願いたい。「おもしろい、おもしろくない」くらいは書き留めておくつもりだから、「おもしろい」と書いてあって、興味が湧くようなら、読んでみていただきたいと思う。
前置きが長くなったが、この本はおもしろい。
芭蕉の「蕉風」を「不易流行」と「かろみ」というキーワードで読み解きながら、「奥の細道」を解説している。ふたつのキーワードで芭蕉の人生観を表現するのはいささか単純化しすぎているきらいはあるが、「奥の細道」の入門書として読むには、ほんとに親切な書きぶりだと思う。
おかげで、私のような素人でも、芭蕉の持つすごさみたいなものを感じることができた。奥の細道の旅は歌枕の旅なのだが、俳句表現の深さもさることながら、地の文の簡潔でピリッと引き締まった調子と、そこに書き込まれた過去の古典への知識には舌を巻く。
一体、芭蕉と、その俳諧に集まった人々というのはどんな生活を送っていたのか、ちと今の私には想像できない。また、江戸期の歴史に新たな疑問が出てきてしまった。