世の中は不況である。しかし、いまいち深刻さにリアリティがない。何故だろうと思うが、これは今回の不況について誰もその本質を理解せず、解決への手法を示すことができず、ただただ現象面への対応に終始しているからだろうと思う。
マスコミは派遣労働者の首切りばかり問題にし、一向に今回の不況の本質に目を向けない。政治家も行政も、なかばあきらめ顔で、対症療法的な雇用対策や中小企業対策に終始している。
肝心な企業はどうかと言えば、これまた企業防衛ばかりに意を用いて、製造業は生産規模を縮小し様子見ばかりしているし、金融業界も評価損の処理ばかりに気をとられている。
労働者の側は、これまた情けないかぎりであるが、戦う気力もなく、被害者然として悲鳴をあげるばかりである。「連合」の会長の言い草には笑ってしまったが、「今回の失業に対して企業の側も配慮してもらいたい。」などとフザケきった発言をしている。
今回の「派遣切り」は、まるで連合傘下の組合とは関係がないかのような認識の下で、未組織労働者への恩恵的な配慮を企業もすべきだと言っているようにとれるのである。情けないかぎりだ。今の労働組合に期待などする気もないが、それにしてもここまで堕落していることに開いた口が塞がらない。
労働組合は、もっともっと先鋭的になるべきだ。傷んでいるのは何もは非正規雇用者だけではない。正規雇用者も同様に傷んでいるのだから。派遣切りにあった労働者諸君も、同情を買うような姿勢ではなく、勝ち取るべきものは己の手で勝ち取るようがんばるべきである。
日本の未来を考えると、それぞれのセクションがもっともっとがんばらなければ、ジリ貧になっていくしかないように思うのだ。